物で溢れたキッチンに笑顔が戻るまで。ある高齢女性のお宅訪問記

先日、片付けの依頼で高齢女性一人暮らしのお宅に伺ってきました。
こちらのお宅には、以前からスポットで片付けに何度か訪問しています。
ご家族からの依頼で、スタッフ数人でいつも1日がかりの作業です。
先日は、主にキッチン周りの片付け作業をしてきました。
キッチンだけで1日かけても、なかなか終わりの見えない状態で、家事代行スタッフのやる気を起こさせる(笑)、かなりやりがいを感じるお宅でした。
その片付け作業を終えて、といっても今後もまだまだお伺いする必要はありますが…。
そんな仕事で感じたことがいろいろとあったので、ブログにまとめてみます。

部屋の状態
こちらのお宅はとても一人暮らしとは思えないほど、たくさんの物で部屋が溢れかえっているような状態です。
そのたくさんの物のせいで、生活スペースが圧迫されて、どこを移動するにも大変!
大切なものをしまっていても、たくさんの物にあふれて、どこに何があるのか、紛失が心配されるような状態です。
先日のキッチンまわりの清掃では、
大量の期限切れの食材がたくさん!
もう使うことのないたくさんの調理器具の山、山、山!
そんな大量かつ必要のないものの仕分けをしてきました。
ちなみに、ご家族の話では、以前はそのような状態ではなく、いつも整理整頓された、きれいなお宅だったということです。
それがなぜ、そのような状態になってしまったのか・・・?
そんな物で溢れかえってしまった原因はいくつかあります。

部屋に物が溢れかえってしまった理由
お母さまは、認知症の初期。
高齢のため体力が必要な大掛かりな片付けは、もうひとりではかなり難しい状態になってしまっています。
また、戦後の物の少ない状態を生きてこられた高齢者の方は、物を大切にするという習慣と価値観が染みついています。
もちろん、物を大切にすることはとても良いことですし、物量が多い=散らかるということでもありません。
ですが、高齢になると、今まで普通にできていたこともできなくなることが多くなってきます。
たくさんの物を管理するということは、それを維持する体力や精神力も必要です。
それらを考えると、高齢になればなるほど、よりシンプルに暮らすことがベストの選択になります。
なんのために片付けをするのか
片付けにしても、掃除にしても、それらには必ず目的があります。
今回の片付けでは、
お母さまがこれから介護ヘルパーさんの家事援助を受けることになりました。
しかし、キッチン周りがあまりにも物が溢れている状態のため、ヘルパーさんが来ても効率よく仕事ができる状態ではないため、それをなんとかしようというのが今回の片付けをする目的であり、理由です。
お母さまが日々の暮らしを快適に過ごすため。
必要なものがすぐに取り出せ、大切なものをなくさずに済む。
家族がいつでも立ち寄って、みんなで見守りができる家。
そんな家にできたら理想ですよね。
高齢者の家の片付けで注意すること
高齢者の家の片付けでは、注意することがいろいろとあります。
まず、
高いところに物をしまってしまうと荷物をとることができないので、極力高い場所には物をしまわないようにしなければいけません。
また、
認知症が進むと、しまった場所を思い出すことができなくなる可能性があります。
そのため、しまう収納より、目の届く範囲に置く”見せる収納”(見える収納)にしたほうがいざという時に見つけやすくなります。
そして、お母さまに「これは必要ですか?」と尋ねると、どいたいどれも必要だとお答えされます。
それは、いつか使うかもだったり、誰かが来た時のもしものためだったりします。
もちろん、普段は必要ではないものでも、いざという時のために取っておきたい気持ちもわからなくはありません。
しかし、それが原因で日々の暮らしが逆に不便になっていては本末転倒です。
そのため、高齢者の家の片付けをする際は、親の気持ちも理解する家族の協力も必要です。
親の家を片付けるということ
今は超高齢化社会と言われています。
今回のように、高齢の親の家を片付ける息子や娘、孫の世代がその問題に直面するケースは、今後どんどん増えていきます。
また、施設に入所したり、亡くなった後、散らかった部屋を片付けるのは残された家族です。
大切な家族に負の遺産を残さないためにも、親もある程度の年齢になったら、シンプルな生活を心がけたいなと私自身も感じました。
まとめ
今回の片付けは、今後も継続的に片付けていく必要があると感じています。
一度片付けたから終わりというわけでもなさそうな感じですが、とりあえず、ヘルパーさんにバトンタッチができるところまでは、きちんと片づけたいなと思っています。
また、こちらのお母さまは、通販で物が買うのが大好きだそうです!
ご家族の心配もつきなさそうな感じではありますが、できる範囲で今後もお手伝いさせていただきたいなと感じています。
少しだけ(?)きれいになったキッチンを見て、
「ありがとう!」とおっしゃていたお母さまの笑顔がとても素敵な一日でした!